よき伝統

ココロの架け橋 中野敏治

入学式,すべての準備が終えると、在校生が体育館に集合し,自分たちで準備した入学式の会場を見渡しています。
在校生は入学式の準備を終え、下校となるはずでしたが、数名の生徒が職員室に来たのです。
そして、職員室にいる先生に「新入生の教室の黒板にメーッセージを書いていいですか?」と相談しているのです。

もう薄暗くなった頃に教室を回りました。
誰もいない教室を覗いて驚きました。
教室の入り口には、折り紙を短冊に切り、リングをつくり、それをつなぎ合わせたもので飾り付けがしてあるのです。
そして、教室に入ると、黒板一杯に新入生へのメッセージが色チョークを使い書かれているのです。
新入生たちが第一歩を踏み入れる教室を、在校生が何時間もかけてきれいに飾り付けしていたのです。

3月に卒業生を送り出しました。
そのとき、1年生と2年生が卒業式の前日に、卒業生の黒板一杯に卒業祝いのメッセージを書いていたのです。
学校生活最後の1日、その教室に入った瞬間、在校生が書いたメッセージを卒業生が目にしたのです。

そして、卒業生は在校生が書いたメッセージに返事を書きました。
そして、さらに在校生の教室に行き黒板にお礼のメッセージを書いて卒業していきました。

卒業式から1か月が過ぎた4月、今度は、それぞれの学年が進級し、新3年生と新2年生が、黒板一杯に書いたメッセージで新入生を迎え入れたのです。
送り出す生徒たち、迎え入れる生徒たち、それぞれの思いが、それぞれの教室の黒板に書かれたメッセージの中にありました。