ほんとうの充実感

苦しみのない人生はない 幸せはすぐ隣にある 小澤竹俊

苦しみがある限り笑顔なんてなれない!
この固定観念をぶち壊しませんか。

苦しみは、希望と現実との開きとすれば、苦しみのない人はいません。
どれほど科学が発達し、便利な時代になったとしても、すべての苦しみをゼロにはできないということです。
この厳しい現実は、いのちに限りがある苦しみをかかえた人との関わりから学んできました。
どれほど最善の治療を受けたとしても治らない病気があります。
今までできていた1つ1つができなくなっていきます。

私がかつてホスピス病棟で働いていたときに、患者さんから教えていただいたことがあります。
「医療は治すことが目的でしょう。だから治すことができない患者は、医療の対象ではないと思うのです。あきらめるしかないのでしょうね・・・」

やがてその患者さんは、ホスピスを紹介され、相談外来を受診後、ホスピスに入院することになりました。
そして入院生活に慣れたある日、次のような話をされました。
「前の病院で医師から2つの選択肢を言われました。 副作用のつらい、効果が30%くらいの抗がん剤治療か、治療自体をしないか。私としては、安楽死の選択肢を加えても良いと思いました。でも、こうしてここにいると、あの時安楽死を選ばなくて良かったと思います。治せなければもう医療から見放されたと思っていたのですが、ここでは違う。たとえ治らない私でさえ、きちんと人間として考えてくれる。今は何もしてなくて、ぼーっとしているようで、実は充実して満足しているのです」