ほんとうのプレゼント 2

「なに? なに?」
「お父さん、死んだらいやや~」
「お父さんが死ぬって、どういうこと?」お父さん自身も、何のことだかさっぱりと?といった感じだった。
「お父さん、もうタバコやめて~!」
「ええっ~!」お父さんは驚いた。
お父さんは、かなりのヘビースモーカーで、お医者さんからストップをかけられているにもかかわらず「タバコのない人生なんて意味ないわー!」と、開き直ってタバコを吸っていたのだ。

タバコを吸い過ぎると、どんな恐ろしいことになるか、真ん中の妹は学校の図書館の本を読んだらしい。
しかもそれは「飛び出す絵本」で、タバコで真っ黒になった肺にショックを受けたみたいだった。
せっかくもらったプレゼントの箱を涙でぐしょぐしょにして、「お父さん、死んじゃったらいやや~!」と叫んだ。

お父さんは「えっ?」って言ったけれど、すぐ「約束するからもう泣かんとき・・!」と言った。
「ほんまに?!」
「うん、ほんまや!」お父さんがまじめに言うと、妹はいつもの笑顔になった。
それから、ようやく楽しい誕生日パーティーが始まった。

そして翌日、お父さんは本当にタバコを吸わなかった。
次の日も、次に次の日も吸わなかった。
タバコのある人生よりも、家族を安心させる人生を選んでくれたんだ。
それは、私たちにとって何よりのバースデープレゼントだった。