ときにはルールを破ってみる

しあわせパズル おかのきんや

ある日、バスで出かけた時のことです。
降りるバス亭がアナウンスされたので、私は降車ボタンを押しました。
その途端「ウエーン!!」と、後ろから子どもの泣き声がしました。
「僕が押そうと思っていたのに、ピンポーンって鳴っちゃった!」

そうです、私が原因です。
男の子のお母さんは困ったような顔をしています。
「おじさんがピンポン押しちゃってごめんね・・」思わず、そう謝りました。
「あら、いいんですよ。こちらこそすいません」

その時、バスの運転手さんのアナウンスが車中に響きました。
「みなさん、お子さんのためにもう一度、ボタンを押せるようにします。それでは、次で降りる方は・・?」
「はーい!」
男の子が降車ボタンを押しました。
「ピンポーン!」その音に男の子は、まだほっぺたを涙でぬらしたままニコニコの笑顔になりました。
その笑顔を見て、バスの乗客も全員笑いました。

大人になると、常識や義務感でがんじがらめになってしまうことが、たくさんあります。
ときにはルールを破ってみるのです。
しかも、それによって自分だけでなく、周囲の人も幸せになるようなことでです。