こんなものか

いのちの言葉 精神科医 なだいなだ

では、どうして精神科医を選んだかというと、放っておいて死なない患者の多い所は精神科しかないんですね。

そこで先生に、「手元に残った患者はどうすればいいんですか?」と聞くと、「放っておいても死なないんだから、まず放っておけ。放っておいて治る患者は、その中から自然に治っていく。お前の所には、放っておいても死にもしない、治りもしないのが残る」と言います。
「残っても、治せなかったら困るじゃないですか」というと、「そんなことはない。その人たちと付き合っていればいいんだ。その人たちは、お前の生活を支えてくれる人だから」と、そう言われたんですね。

大学の講義は、すべて忘れましたが、この個人講義だけは今でも覚えています。