これが最後の晩餐だと思って食べる

いつでも死ねる 帯津良一

ガンになると、多くの人が食事を見直そうとします。
しかし、本格的な食事療法はかなり厳しくて、それを徹底するのは容易なことではありません。
ある患者さんは、玄米食を頑張って続けてきました。
しかし、しばらくすると顔色がさえなくなりました。
担当の看護師は「何かあったのかしら?」と聞くと、玄米を見ると吐き気がすると訴えているというのです。
それでも、その患者さんは頑張って玄米を食べようとしていました。
しかし、嫌々食べてもいい効果は出ません。
逆にストレスになってしまいます。

そこで、私はその患者さんに「今度の日曜日は外出して、ステーキかウナギでも食べてきたら」と言ってみました。
厳格な玄米食では肉も魚も禁止されています。
患者さんは、最初はちょっと躊躇していましたが、すぐにニコッとして「分かりました」と言って、日曜日には意気揚々と外出していきました。
それで食事療法が崩れるかというとそんなことはなくて、その患者さんは月曜日から、また玄米を食べ始めました。
ときめきによって、気持ちを切り替え気力を充電したのです。

私は、最高の食事療法はときめきをもって食べることだと思っています。
かつ丼は、一般的に言えば決して健康的な食べ物ではありませんが、私にとっては、心がときめく分だけ、生命力を高めてくれる食べ物なのです。