がんばる

少し昔までは「がんばる」という言葉は悪い意味に使われていました。

他の意見を押しのけて自分の意思を押し通す。我を張る。座を占めて動かない。「がんばる」にはこのような意味合いがありました。二通りの意見で対立した場合、どちらの意見も満点ではなく75点と72点位の差しかないことが多いような気がします。もしその位の差であるならば、敢えて「自分が正しい」などと争うことはありませんよね。お互いの良い点と意見の違いを冷静に確認し合えばいいことですから。我を張り続けることで人を殺アヤめてしまうことだってあります。一度しかない人生を台無しにして、独房で後悔しても取り返しがつきませんよね。

もうひとつ「がんばる」には苦しさに負けずに努力するという意味もあります。日本人が好きなのはこの意味での「がんばる」なのでしょう。ここでまたお釈迦様がでてきます。「がんばるな、いい加減がいいのだ」と言います。

熱いお湯が好きな人には熱湯が、ぬるま湯が好きな人にはぬるま湯が「いい加減」だと言います。風邪で40度の熱が出ているのに「がんばって」仕事に行って肺炎を起こし、1ヶ月も入院するような愚かなことはしないほうがいいということなのでしょう。

自分にとって一番相応フサワしい道を見つけ、その道をゆったりと歩いていくことを教えているのです。