うつ病

70歳からの選択 和田秀樹

うつ病が疑われるポイントは3つあります。
1つ目は、睡眠の質の低下です。
夜中に3回も4回も目が覚めるような症状がある場合、セロトニンの量が減少しており、うつ病の初期症状が疑われるのです。
2つ目は、食欲減退です。
うつ病になると、これまでは美味しかったものが美味しく感じられなくなります。
3つ目は、仕事の能率低下です。
よくある症状としては、仕事の能率低下とともに気分が落ち込み、自己嫌悪に陥るというパターンです。
こうした症状が出た場合には、うつ病を疑い、すぐに専門医に診てもらうべきです。
多くの場合は、症状に適した薬を飲むことで、それぞれの症状が改善して楽になります。

うつ病の人は、アルコール依存症になりやすいのも典型的な特徴です。
そこには2つの理由があります。
1つには、うつ病になると眠れなくなり夜中に何回も目が覚めたり、寝つきが悪くなったりするため、ついついお酒を飲んでしまうのです。
普段から酒を飲み続けていると、酒に強くなっていきます。
そうなると、割と速いペースで量が増えていきます。
もう1つは、アルコールはセロトニンを枯渇させる作用があることです。
セロトニンは、前向きで幸せ感覚にしてくれるのですが、それがアルコールによって枯渇することで、余計にうつ病が悪化するのです。
逆の言い方をすれば、アルコール依存症の人はうつ病になりやすいということです。