いろいろな作業を広く行うこと

70歳からの選択 和田秀樹

認知症の進行を食い止めるには「脳トレ」の類は有効ではないと述べました。
ドリルをやるとか計算をやるとか、漢字を覚えるといった単一作業は、あまり脳への刺激にならないからです。
一方で、認知症の進行を食い止めるために効果があるのは、好きなことや楽しいこと、興味があることをやり続けること、日常的にやってきた習慣をなくさないことです。

笑うことにより神経ペプチドという神経伝達物質が生産され、それが免疫細胞であるナチュラルキラー細胞を活性化させることが分かっています。
つまり、笑うことは脳へ効果的であると同時に、免疫力のアップにも非常に効果があり、風邪やガンにかかりにくくなることが判明したのです。

また、いろいろな作業を同時にやることも効果的です。
たとえば料理。
右で味噌汁、左では炒め物をつくりながら、同時に電子レンジでチンをするというように、いろいろな作業を同時に行うため、脳を刺激します。
要するに、脳を使うときに、1つのことだけではなく、他のことも同時に広く行うことが効果的なわけです。