いのちをいただいて生きていく

いのちの言葉 JT生命誌研究館館長 中村佳子

1個の細胞ができたのは38億年前です。
私たちがいるのは、その38億年があってのことですし、私たちの身体の中にその歴史が入っているわけです。

生きているということを考えると、そこでどうしても出てくるのが「死」ということですね。
大切なものは壊さないように大事にします。
でもいのちは、どんなに大事に思っていても、やがては必ず死んでしまうのです。
食べ物は、みんな生き物です。
私は菜食主義だと言っても、ほうれん草もニンジンも生き物です。
ですから私たちは、いのちは大切だということをよく分かっていながら、自分が生きようと思うと、他の生き物のいのちを奪わなければ生きていけません。
ただその時に、いのちを奪うというような感覚ではなくて、相手のいのちをいただいて、私たちは生きていこうという気持ちを持つ。
これを日本人は「いただきます」という言葉で上手に表していると思います。