いのちの大地

いのちの言葉 作家 高史明

「誰か、この苦しみを助けてくれるものはあるまいか」
私も、その叫びを上げたことがありました。
最愛の子どもが死んだ夜でございます。
その日、いつもは夕方には帰る子供が帰らなかった。
不意に不安を覚えたときに、警察から電話がありました。
胸騒ぎを抑えて駆けつけると、すでに子供は息をしない身となっていました。

何が起きたのかよく分からない。
やがて、深い悲しみに気づきました。
目が覚めることが恐ろしいのです。
それこそまさに、いのちをどう思っているかを真正面から問いかけられることでした。

子どもの苦しみや、子どもの自死という出来事をどうして予測できなかったのか。
12歳の子どもが、どうして自分で死んでしまったのか。
そこに人間としての私の問題、また子どもの問題があったように思います。