いつも笑っていてごらん

親のこころより 44歳女性の投稿

私の小学校時代、母は「住みこみ」の仕事で父親の借金を返済しながら、生活費を仕送りしてくれました。
運動会にも来てくれない母、遠足のお弁当も作ってもらえず、自分でこしらえた弁当箱を開けるのが悲しかったことは、今でも忘れられません。
でも、母親の愛情がいつも自分に注がれていることを、幼心に感じていました。
一か月に一度だけ返ってくる母を、今か、今かと待っている私。
いつも遠くから手を広げて、息を切らして走ってきて、苦しくなるくらい抱きしめてくれました。

次に出てくる母のエプロン。それは魔法のふろしきです。
次から次へと、いろいろなものが出てくるのです。
なぜか一つずつしかない、珍しいお菓子・・・。
母の毎日の職場のおやつは、きっとエプロンの中に隠れたのでしょう。
私の顔をじっと見ては
「おまえは本当にかわいいね。笑った顔がかわいいね」
「いつも笑っていてごらん。大好きだよ」
まるで何かの一つ覚えのように聞かされるうちに、「そうか、笑っている方が可愛いのか」と単純に信じて笑うようになりました。

今、我が子から「今度の運動会、絶対に来てね。絶対だからね」と言われるたびに、昔の母を思い出します。
運動会に来てくれないと泣いた私の心より、お母さんの心が、もっともっと泣いていたんだなって・・・・。
お母さん、ありがとう。
どれだけお礼を言っても言い足りないはずなのに、恩知らずで、ごめんなさい。