いつの間にか

ココロの架け橋 中野敏治

出発当日、彼らの家を一軒一軒まわり、それぞれの保護者に会い話しをし、彼らを一人ひとり車に乗せていきました。
ある親は「先生、これを持って行って」と小さなクーラーボックスを渡されました。
「なんですか?」と尋ねると、隣にいた生徒が「肉だよ、肉。今夜、バーベキューだよ」と言うのです。
次の家では「先生、畑で採れた野菜を持って行って」と。
4人の生徒の家を周り終えたら、バーベキューの材料はすべてそろっていたのです。
親同士が話しをして、繋がっていたのです。

問題行動を抱えている生徒の中には、学校という場を離れると、とても明るく素直になる生徒がいるものです。
車の中では、釣りの話しで盛り上がっていました。
狭い車の中で、竿を出したり道具を見せ合ったりと、これから向かう湖での釣りの準備が始まっているようでした。