あなたが「今」を生きていてくれるだけで、お母さんは嬉しいの

親のこころより

私は18歳の誕生日を迎えました。半年前の私には「18歳の誕生日」の予定はなかったので、今までの誕生日の中でも特別な、自分の中での大きな節目だったように思います。
半年前、私は「死ぬこと」しか考えていませんでした。
毎日、毎日、ベランダから飛び降りようとしたり、カッターナイフで手首を切ったり、を繰り返していました。
薬を大量に飲んで意識を失い、救急車で病院に運ばれたこともありまいた。
そのたびに母は、必死で私を止めました。部屋の中の刃物を集めて保管したり、音がするとすぐに私の部屋に飛んできたり・・・。
けれど、どんなに母を困らせても、あの時の私の心の中は空洞で何も感じませんでした。

私は幼いころから、これといった特技がなかったので、勉強だけが自分の強みでした。
しかし高一の夏に体調を崩してから、まったく勉強ができなくなり、私は一気に「生きる糧」を失ってしまいました。
それからは、普通の生活ができない自分への悔しさと、家族に負担がかかることへの申し訳なさから、
「私はいないほうがいいんだ!生きている価値なんかない!」
と自分を異常に追い詰めるようになりました。

しかし、どんな時でも「転機」というのは訪れるようです。
ある時「私なんかいらない子!」と泣き叫ぶ私に、母が落ち着いた顔でこう言いました。
「たとえ、どんなにあなたが重い病気でも、看病が苦痛だなんて思わない。勉強ができなくても、出来の悪い子だなんて思わない。あなたが『今』を生きていてくれるだけで、お母さんは嬉しいの。あなたは、大事な大事な子なの。だから自分を責めないで。『いらない子』なんかじゃない。お父さんとお母さんの娘は、後にも先にもあなたしかいないのよ」
その時、母の瞳から一筋の涙が流れました。
それは、どんな宝石も適わない美しさでした。

あの言葉がなかったら、今ここに私はいないでしょう。
この気持ちを言葉に表すのは到底無理です。
だから私は、たとえ世界中を敵に回しても、母の味方でいると断言します。