「あきらめない」という気持ちの脇に「いつでも死ねる」という覚悟

いつでも死ねる 帯津良一

カール・サイモント博士が講演をしてくださることになりました。
「ガンという病気を乗り越えるには、絶対に治っていくという信念がないとダメです」と博士は患者さんにやさしい笑顔を交えて話しかけました。
「でも、この信念が強すぎると執着となってよくないのです」
しかし、あきらめない気持ちと執着」とは、どこで線引きをしたらいいのでしょう。
私がそう思っていると、一人の患者さんが手を挙げました。
「どこまでが信念で、どこから先が執着ですか?」
博士はこう答えました。
「治るんだという気持ちはいくら強くてもいいでしょう。でも、その脇の方でいいですから、いつでも死ねるという気持ちを持っていてほしいのです」

できるかどうかはともかく、あきらめない気持ちの脇に、いつでも死ねるという覚悟を秘めることは、甘い食べ物に塩を1つまみ加えることで甘未が増すようなもので、生命力をアップさせるのかもしれません。
あきらめないことは大切だけれども、それを執着にはしない。
この塩梅が生命力のカギを握っているようです。